大の旅立ち

関さんのこと。

関さんと僕とは、島さんを通じて知り合いました。

よく、僕らに合コンを主催してくれる良い人です。

関さんは、コンビ二の店長をしていまして、そこで知り合う人とか

パートのお姉さんとかにアプローチをかけて、合コンを開催して

くれます。関さんは、仕事を真面目にこなし、仕事ができる男

で、僕から見れば兄貴的なナイスガイなのですが、まあいわゆる

外面が、女性から見られますとあまりかっこよくないらしく、

それで少し難儀をしているようなお方であります。

（それで、外面が良ければ合コンを開催する必要がないからです）

そんなわけで、関さんが良いなって思った女性に、アプローチの

かけかたとして、

　僕らと君らで合コンしないかい？

というのです。

　そんなわけで、合コンが開催されるわけです。

関さんは、テニス倶楽部に通っているという女性と知り合いました

　勇気をだして、なんとか誘い

合コンの約束を取り付けて、僕らを招集しました。

　関さんの狙いは勿論、その誘った女性です。

そんなわけで今回の僕らはあくまで関さんのサポートということで

　僕らはあまり目立たず張り切らず、関さんに侍るのでした。

今回の女性には、関さんは惚れていたらしく、

合コンの初っ端からトークを飛ばしてゆきます。

トークと比例してアルコールの量も飛ばしてゆきます。

最初のトークが快調だったので安心したのか、さらに

　アルコールの量も増えてゆきます。

　（関さんが本気だ）僕らはそう思いました。

　しかし、合コンも中盤を過ぎる頃には、関さんのペースが

　落ちてきました。ずいぶんとたくさん飲んだアルコール量と

　寄る年波。そして快調だった初っ端のトークで、

　女性の気持ちを掴んだと思い込み、そしてそれに

　安心してしまったのでしょうか、どんどん口数が少なくなり、

　そしてそれから

　　　ニーマルイチマル　関号　撃沈。

　その撃沈を見測ったかのように、

　「用事がありますので」　といって、

　女性達は帰ってゆきました。

　だいぶして、関さんが撃沈から目覚めたときには、

　すでに女性達は帰ってしまっていたので、

　関さんはとても寂しそうでした。

　その後、関さんはその女性に個人的に、アプローチをかけては

　みたのですが、やんわりと断られ続け、そして

その彼女の通っているというテニス倶楽部に（一緒に）行きたい。

と誘ってみたところ

　「私、もうあのテニス倶楽部を辞めましたが、水曜日と

　金曜日にやっていますので良かったらどうぞ」

　といわれました。

そこでやっと、

この女性は、俺には興味がないんだなぁ。と

気づいたらしいです。

　せっかく自分で主催している合コンなのに、

うまくいかないもどかしさ。

　悩める男、関さんは、僕らに聞きました。

「なぜ、うまくいかないのか・・？」・・と。

　・・・！

　あまりにストレートな質問に困惑する僕ら3人。

　誰しもが、脳裏に閃いた事は・・、

　　　　　（ルックス）

　・・・・。

　念のために、関さんはとても良い男だ。

　仕事は真面目だし、後輩の面倒見も良い。

　性格も穏やかで、気配りもできるナイスガイだ。

　付き合えば、その良さは世の女性は身に沁みて思いしるであろう

　ただ、そこまでにいく一時試験（主に、ルックス審査）が

　なかなか通らないだけなのである。

　関さんはどんな顔をしているのかといいますと、

　手塚治氏の漫画、鉄腕アトムの御茶ノ水博士に黒ブチめがねを

　かけさせたような感じですね。

　そして少し、肥満気味です。

　肥満は少し気にしているようでして、

　かつて、アメリカンショッピングなどでさまざまな

　ダイエット器具を購入しているのですが、

　元来の飽き性ゆえか、はたまた購入したことによって

　（いつでもできるさ）という安心感が湧いてくるのか、

　痩せるまで、長続きしたことがないのです。

　だから、今もまだ肥満気味なのであります。

　さて、

　冒頭の関さんの質問なのですが、

　僕らは、しばらく考えて、

　「関さんは、1人で合コンを盛り上げようと頑張りすぎなんだよ

　一番の年長なんだから、もっとどっしりと構えてさ、

　年かしらとして、合コン全体を見守る。

　っていう感じで臨むのが良いのではないのですかね。」

　と、もっともらしい答えを言いました。

　関さんは、なるほど。という感じでうなずき、

　では、機会があればそういう風にしてみるよ。

　と笑顔でこたえました。

　・・・・。

　そして、その機会。

　関さんは、その日、終始笑顔で口数も少なく、合コン全体を

　見守るように穏やかに酒を過ごされておりました。

　・・・。

　関さんには、女の子からは、なんのアプローチもなく、

　その合コンはお開きとなりました。